円形パネル

アルフォンス・ミュシャ 月桂樹

ある女性像

2019年

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© 2019 Kengo Tachibana
Updated: April 09, 2019
Last modified: December 11, 2021

Index

 

作品概要
  • はじめに
    • 10年ほど前、円形パネル作成のため木枠2個を入手していた。その時は特に作成の図案はなかったが、何となくそのようなパネルを作ってみたいと思ったようだ。
    • それはどうもアルフォンス・ミュシャの二つのポスター、「つた」と「月桂樹」の印象が強かったためかも知れない。
    • そこで、今回ミュシャの「月桂樹」をもとに円形ステンドグラス・パネルを作ることにした。ただし、原画は縦長長方形であるが、作成形体は円形パネルなので、月桂樹モチーフの核、原画中央円形の形象とする。
    • 原画はアルフォンス・ミュシャ(Alfons Maria Mucha, 1860-1939)のポスター「月桂樹(Laurel)1901年」である。
    • 「堺 アルフォンス・ミュシャ館」の案内より抜粋(一部省略)

      アルフォンス・ミュシャは、19世紀末から20世紀初頭にかけて花開いたアール・ヌーヴォーの代表的画家です。ミュシャは、現在のチェコ共和国で生まれ、パリの舞台女優、サラ・ベルナールのポスターを制作して一躍有名になりました。 ミュシャの作品はしなやかな曲線と美しい色彩が特徴で、異国趣味や古典古代を思わせる装飾様式のほか、日本など東洋の美術の要素もみられます。また、『明星』や『みだれ髪』などを通じて日本にも大きな影響を及ぼしました。

  • 原画(左)とパネル図案(右)
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  •    

  • [2019.04.09] 作品イメージ
  • 左:パネル実寸大図案、右:木枠(裏側)とパネル、寸法(画像をクリックすれば拡大画像、各ブラウザの「戻る」ボタンでこのページへ。)
     

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作成用デザイン ―ピース図―まで
  • 複製画
  •   上の「作品概要」に掲げた画像はネットで紹介されているものを利用させてもらった。しかし、作品のイメージを得るためには十分であるが、実際の作成の基となる図案を起こすためにはこれでは不鮮明である。

    そこで、複製画を通販で購入した。額装も可能だったが、今回は「絵」の鑑賞や飾ることが目的ではないので、額なしの一番安いものにした。
     
      送られてきた複製画のサイズは 424 x 348mm だが、絵そのものは 308 x 230o である(画像をクリックすれば拡大画像、各ブラウザの「戻る」ボタンでこのページへ)。

    作品化する円の直径は435ミリメートルなのでほぼ倍の大きさに拡大することになる。

  • [2019.04.15] パネル図案
  •   左の円形画像の直径は木枠内径と同じく435oで、これは表側から見える画面。パネルは木枠に止める溝の幅10oが必要なので、一番外側の円形の輪ピース幅(10o)は、実際は幅20oになる(下の画像参照)。

    なお、上の「作品概要」に掲げた画像で幾何学模様の褐色のラインは(女性像の外縁も)、この複製画では黄金色で表されている(見る角度によって褐色になるが)。これはパネル図案作成という面からは、細部が隠れるので困るが、他の画像などを参考にして処理できそうだ。

    ただし、パネルでは褐色(アンバー)のガラスで仕上げるつもりである。
     
      【幾何学模様の確認】(画像をクリックすれば拡大画像、各ブラウザの「戻る」ボタンでこのページへ。)

    この「絵」は幾何学模様の背景と、その前に描かれる若い女性の肖像から成る(特にいささか様式化された髪の毛が目立つ)。幾何学模様は同心円の複数のラインや帯と幅広い帯の一つの中に等間隔で並ぶ小さな円が主たるモチーフである。

    それら大小の円のラインを確認した(左の画像、ピンクのライン)。その結果分かったのは、
    1. 同心円はすべて真円であること
    2. 小さな円は左半分に9個(一番上の1個は隠れている)、右側半分に2個の一部を除いて隠れているが9個、合計18個あること
    である。

    さらに、小さな円は左半分の並びがメインであるが、それらは真円ではなく、中心点から見て横幅がわずかに膨らんでおり(左の画像ではそのように処理している)、そのため、一番下の円は垂直線から右側へ約6度はみ出すようにずれている(右の2つの膨らみはより顕著である)。

    しかし、作成の場合は、もちろん原画のラインを忠実に再現する。

  • [2019.05.02] デザイン
    • 【パネル外縁と外側の円形帯】下の図 1〜6
    • パネル外縁に補強のため径3mm真鍮管の輪を取り付け、一番外側の幅17o円形の帯とハンダで接着する。
      [2019.05.21] 真鍮管は径4oに変更する予定である。
    • この帯は半円3個、全部で6個等間隔に(厳密には等間隔ではないが)並べる。

    • 【左のモザイク模様の部分】下の図 7-1〜7-3
    • 上で、褐色のラインは「アンバーのガラスで仕上げるつもりである」と書いたが、色々検討した結果、(説明は省くが)この部分の色分けをガラスピ−スによって表現することは無理であるという結論になった。
    • 処理方法は次の2つがある。いずれも模様はガラス用絵の具を用いることになる。
      1. 7-1・2・3を1つの大きなピースとする。イエローのガラスになるだろう。1つのピースなので、絵の具で色分けするとしても、全体が単調になり、味わいが失われるかも知れない。
      2. 7-1〜7-3のピースに分割する。ガラスが3種類になるので深みが増すだろう。
    • この部分を1つのピースにするにせよ、あるいは2〜3個のピースに分割するにせよ、この部分と他のピース、具体的にいえば、左側のピース1・2・3、上部ピース45、右側のピース8・9・10との繋ぎはコパーテープ・ハンダとなる。
    • しかし、全体1つのピースの場合は問題ないが、分割すると7-1、7-2、7-3間の長い繋ぎ方が難しい。コパーテープとハンダというステンドグラスの通常の処理ではその黒いラインが強すぎると思われるからである。ガラス接着剤利用が可能だが、その接着強度などを試してみる必要がある。また、透明な接着剤では、接着ラインがひび割れと見えるかも知れず、それも調べなければならない。
    • というわけで、現在の所、ここは一つの大きなピースで構成することにしている。

    • 【女性の顔・首、リボン、衣】下の図 8〜18
    • これらはシンプルなピースである。
    • ただし、額の、月桂樹の葉ピース「22」と髪の毛の間があまりにも狭いので、葉の先端を少し短くさせてもらう。それでもこの箇所はピース作成時ハラハラすることになるだろう。葉っぱ先端を髪の毛まで伸ばして繋げば何の心配もないのだが、それではこの絵の味わいがかなり違ったものになりそうだ。

    • 【頭部、髪の毛、月桂樹、ヘッドバンド・リボン】
    • 以上を除く頭部の構成は、まず髪の毛、月桂樹の枝葉、ヘッドバンド(ヘアバンドは和製英語)などの女性像と、髪の毛の隙間背後の模様(額の一部もある)である。頭部のピース作成のためにはこの構成を明確にしておく必要がある。この確認には相当時間がかかった。入手した複製画とその拡大印刷、ネット掲載の各種画像などを調べた。その結果は以下の通りである。
    • ヘッドバンドとリボン
    • バンドはピース34〜44(丸い飾りも含む)と延びているが、月桂樹の葉ピース25・27・28で隠れている。ピース作成上重要なのは小さなピース36と極小ピース39である。複製画を丹念に見て、この2つのブロックを確認し、バンドの在りようが明確になった。
      バンドは額上部からから後頭部へ流れそこで結ばれていると思われる。それはピース73の背景模様が示している。この頃(19世紀末から20世紀初頭、ベル・エポック時代)のパリで流行したのだろうか、このバンドは長い2本の布製で(恐らく絹の極めて薄い布)、上部左右側頭で結び束ねられている(ピース35)。また、後頭部で結ばれ(あるいは何らかの方法で留められ)、左右に分かれて広く長いリボンとして首から胸へ垂れている。
      したがって、バンドとリボンの素材は同じであるからそれらのピースは同じガラスで作成することになる。

    • 月桂樹
    • ベル・エポック、女性たちの間でヘッドバンドに花や植物を挿して飾りとすることがはやったそうである。この絵の女性も月桂樹を飾りとしている。
      月桂樹の枝は左のピース26の右でバンドの下に挿され、ピース33で出て葉ピース32で再びバンドの下に潜っているようである。つまり、月桂樹は2つの枝ではなく一枝ということになる。このことを念頭に置いて各ピースのガラスを選ぶ。

    • 髪の毛
    • この絵の一番の特徴は髪の毛だろう。その非現実的な様式化されたようなうねりをガラスで表現するのは非常に難しいと思う。そのピース割りを一応デザイン図のようにしてみた。
      髪のうねりの筋を丹念に調べ、カットラインを引いたが(何度も試み、非常に時間がかかった)、実際のピース作成時、この通りになるとは限らない。これはやってみなければ分からない点が多い。
      この検討中、額の先(ピース45〜62)と後頭部の後ろ(ピース74〜85)の髪は毛先が出ているのではなく、またバンドの下に潜り込んでいるようだが、このようなことが現実にあり得るかどうか、疑問に思った。
      なお、耳の後ろから首筋にかけて垂れている髪の毛(ほつれ毛、後れ毛)はガラスピースでの表現は不可能なので、顔のピースに絵の具で描くことになる。
     
    【デザイン図】
     
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    ピース作成方法

    1. 左の図で青線に囲まれたピンクのピースブロックはドリルで穴を空け、広げる方法で処理する。
    2. 月桂樹の葉は数枚を1ピースにまとめるかも知れない。カットは難しいが、バンドソーを用いればかなり複雑なラインのピースを整えられる。
    3. 髪の毛もバンドソーを多用することになるはずである。
    4. 髪の毛のピース67-1〜67-4、および71-1〜71-6内の赤点線は仮カットライン。実際カットするかどうか、カットする場合どの線で行うかなど現在未定。

  • [2019.05.05] リボンと衣のピース
  •   リボンピース10と衣ピース11を検討した(赤のライン)。

    11は明らかに首回りの飾り(襟、11-1)の下に衣がある(11-2)、と解釈した。この2つはガラスを変える。

    リボンピース10は悩ましい。左肩から垂れるリボンと同じく、右も2本のはずであり、それが重なって下まで垂れているようには見えない(重なっているのであれば1つのピースで表現可能である)。

    しかも、その2本の間に上部と下部で衣が見えているようでもある(「」)。もしもそのように解釈すれば、ここは4ピースになる。

    ラインも含め、さらに検討しなければならない。

  • [2019.05.06] 作成用デザイン ―ピース図―
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    パネル作成用デザイン図をトレーシングペーパーで作成した(ただし、リボンピース10は分割していない)。このパネル作成を決めてからここまで、色々検討しながら、約1ヶ月かかった。

    これから、このトレーシングペーパーのピース図ラインを、カーボン紙を下に敷いて薄手のケント紙に転写、ラインに沿ってすべてのピースのケント紙型紙をカッターナイフで切り離し、それをもとに、いよいよ、ガラスピースを作る。

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全ピース作成まで
  • [2019.05.07] ピース型紙
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  •   ピースを転写した薄手ケント紙。

    頭部の髪の毛、月桂樹、ヘッドバンドのピースは、作成の際、この型紙とは微細に異なるかも知れない。
     
      比較的シンプルで大きなピース1〜19の型紙を切り離した。ティファニー(銅テープ)工法の場合、型紙を作成するときに、通常ハンダしろ分(約1o)小さくするために、2枚刃パターンハサミを用いることが多いが、今回はカッターナイフでカットした。

    この作品では、普通のステンドグラス作品とは違って、できるだけ各ピース間の隙間を少なくしたいためである(ピース作成後の微調整がしんどいことになるのは覚悟して)。

    まず、リボンピース10の検討は後回しにして、19までのピースを作ってみることにする。

  • [2019.05.09] ピース1〜19作成
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  •   頭部の髪の毛、ヘッドバンド、月桂樹、および髪の毛の背後の模様を除く、比較的大きなピース1〜19を作成した。

    左の大きな模様のピース7-1〜7-3は、1つのピースでは物足りないので、やはり3つのピースに分割、ガラスを変えることにした。

    ただし、ピース7-3は手持ちのグリーンのガラスで作成したのだが、そのガラスの色が濃すぎるので途中で止め、さわやかなグリーンのガラスを購入し、あらためて作ることにする。

    ピース7-1〜7-3を分割したため、右上の模様ピース19も19ー1と19-2になる。しかし、19-2を1つのピースとして作ると、茶色のラインの非常に幅の狭い所があまりにも弱く、折れてしまう。そこで、このピースをその箇所で上下に分割し、ガラス用接着剤で繋ぐことにした。したがって、ピース19は1、2、3の3個となる。

    衣(このような衣類を何というのだろう、ガウンか?)のピース9、11-2、18はランバーツのオパック・ホワイトであるが、襟飾りをブルズアイのアンバー・イリデセントにしたため、少しアンバランスな感じがする。別のガラスに変えるかも知れない。

    右肩から垂れるリボンは1つのピースにしているが、もう少し検討してみる。
     
    [2019.05.12] リボンピース10と11-2
     
    装飾工房「瑞緒」のデザイン専門家でもあるその工房主に、右肩から垂れるリボンピース10とその右下の小さなピース11-2を見てもらい、専門家としての見解を聞いた。

    それによると、ピース10のリボンは確かに2本に分かれているということで、これは私の「解釈」と同じ、このピースは10-1、10-2にカットすることにする(そのカットラインについて、二人の意見は同じ)。

    11-2は意見が分かれた。私は、これは衣の一部と見た。しかし、彼によると、それはデザイン上不自然で、ミュシャがそのような意匠を意図するはずはない、これは右肩から垂れるリボンの流れとしか考えられない、ということであった。私自身、その可能性もあると感じていたので納得、この小さなピースはリボンのガラスにした。

    なお、ピース11-2の上のピース11-1は、最初作ったピースのイリデセントの色合いが同じ襟飾りピース14・17と調和しないので変えた(すぐ上の画像と比較)。
     
    [2019.05.15] 左の模様7-3
    • この大きなピースは、最初に購入したガラス(スペクトラム・スムース、透明)で作成した(下、左画像)。しかし、このガラスは色が濃すぎ、スムースのガラスのため、味わいがなく、反射もきつい。

    • そこで、表の表情が細かく微妙に刻まれるブルズアイのシーグリーン・ガラスを買い求め、あらためてピ−スを作成した(下、右画像)。こちらにする。
     
     

  • 頭部のブロックとピース
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  • [2019.05.10] 頭部のブロック
     
    この絵の頭部は、左の画像のように、大まかに額の前の髪の毛と背後の模様(A)、正規の頭部(B)、後頭部後ろの髪の毛と背後の模様(C)のブロックに分けることができる。

    その3つのブロックは、何だかそれぞれ特性があるようにも思える。いずれもステンドグラスとして表現するのは難しそうだ。

    頭部では雑な仕事は許されない。ピースの結合のためのコパーテープ・ハンダ処理はあるが、多くがガラス用接着剤で結合する方式にする。

    各ピースをキチンと作成し、接着剤で結合の各ピースは密着しているのが望ましく、隙間はできれば0.3o以下にしなければならないだろう。調べてみると、ガラス用接着剤には色々な種類があり、それらの特性など試験してみる。
     
    [2019.05.11] 頭部ピース作成@ ―主としてB、Cの髪の毛―
     
    頭部の一番シンプルなCブロックの髪の毛のピース作成から始めた。

    髪の毛の流れをこわさないようにピース割りをしたが、その結果、通常のステンドグラス作成ではあり得ないようなピースカットをしなければならないことになる。

    そのため、難しい曲線のピースはバンドソーを使って作成する。左の画像のバンドソーは、10年ほど前買い求めたのだが、7年前のカピス貝ランプシェード修理で、貝殻のピースカットの際用いただけで、ステンドグラス作成では使ったことがない。今回初めて利用する。

    まず、最もカットが難しいと思われるCブロックの髪の毛ピース75を切り出してみた(左の画像)。
     
      何とかうまく行ったようだ。

    Cブロックでは、この他ピース74もバンドソーを用いた。
     
      バンドソーを使えば、かなり細かな箇所のカットもできることが分かったので、Bブロックの髪の毛ピース67-1〜4は分割せず、1つのピースとして切り出した。また、同様にピース71-1〜6も1ピースにすることができた。

    なお、髪の毛のガラスは襟の飾りと同じくブルズアイのアンバー・ゴールドイリデセントである(金髪と解釈)。

    しかし、両者は元板が異なるので、完全な透過光で見る場合はほぼ同じ色合いであると思われるが、パネルとして眺める場合、反射光によって両者の表情は異なる(ということを想定している)。
     
    [2019.05.13] 頭部ピース作成A ―Bブロックの月桂樹とヘッドバンド(一部)―
     
    Bブロックの月桂樹の葉とヘッドバンドピース作成。

    コパーテープ・ハンダ処理のラインは隙間が目立つ。各ピース間を厳密に寄せていないこともあるが、最終的に整え、隙間が大きすぎる場合ピース再作成となるかも知れない。しかし、ハンダラインの大小・強弱はステンドグラスの味わいの一つであり、全ピース完成段階で検討する。

    月桂樹の葉の内、22・23・24と29・30はまとめて1つのピースにした。

    下の方のヘッドバンド飾りは作成中。これがなかなか難しい。ガラス穴開け工具など用いて奮闘中。
     
      頭部Bブロック上部髪の毛を1つのピースとしてバンドソーで切り出した。しかし、これは一部無理があったようだ。

    一番右の箇所。その左を手作業でダイヤモンドヤスリを使って成形している時、何らかの力関係で先端が折れてしまった。その箇所は約5oの幅。上の型紙のピースにした。
     
    [2019.05.15] 頭部B
    • 頭部B、ヘッドバンドの飾りピースを作り、細かなピースを除いて、一応全ピースを作成した(下、左画像)。微細ピースは(実はこれらが極めて重要なのだが)他のピースを整えた後作成する。
    • しかし、この段階でも、よく見ると納得のいかないピースがある。

    • 具体的には、月桂樹の葉ピース22〜24と29〜30である。これではメリハリがなく、何だか間延びした感じがする。
    • そこで、ピース24と30はガラスを変え、1つのピースにした(下、右画像)。
     
     
     
    [2019.05.17] 頭部A
    • このブロックの髪の毛のピース割りを一部変更した。大きな1ピースにまとめ、隙間の背景模様ブロックの穴を空けくりぬく作業が大変なことが分かったためである。
    • 結局、下左画像の6個のピースに分割し、作成した(上に型紙、下に作成各ピース)。

    • しかし、それらを組み合わせるとなると、各ピース間の微調整がしんどかった(予想はしていたが)。
    • 他の大きなピースの微調整もして、頭部A、髪の毛ピース群を収めた(下右画像)。
     
     
     
    [2019.05.17] 頭部A・B・C主要ピース作成完了
     
    左画像、頭部A・B・Cの主要なピースを作成し終えた(いくつかの細かなピースも作ったが)。

    これから、頭部のその他のピースを作成する。その多くは小さなピースである。

    中には米粒の半分ほどの(あるいはそれ以下の)微細な、ガラスの欠片のごとき「ピース」もある。

    それらの作成に(および、その保管にも)、気を引き締め取りかかりたいと思う。
     
    [2019.05.20] 頭部A・B・Cピース作成完了
     
    頭部A・B・Cの小さなピースを作成した(左の画像)。ただし、Aブロックの上部、髪の毛の背後の極小さないくつかのピースは未作成。

    この過程で、それらの小さなピースを組み込むと他のピースの形にも響くことがあり(特にBブロック)、そのいくつかを細かく成形し直したり、場合によってはピースを再作成して整えた。

    小さなピースの成形が微妙で難しく、失敗していくつか(中には数回)作り直した。

    また、ヘッドバンドの長いピース34は、色の流れがバンドと調和しないので新たに作成した(すぐ上の画像の当該ピースと異なる)。

  • [2019.05.20] 全ピース作成完了
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  •   左画像、これで一応全ピース作成が完了し、一段落。

    ステンドグラス素材ガラスは透過光(透明性)の強弱があるが、このパネルではその強と弱を用いた。透明性のほとんどないものは、一番外のグリーンの輪、女性の額・顔・首筋、ヘッドバンド・その飾り・リボンであり、他は光を通す。その結果、裏側からパネルを照らすと不透明なピースが浮き出るということを意図した。

    透明性の高いガラスを用いたブロックは、線描(一部絵付け)の範囲である。しかし、絵付け・線描の前にパネル全体のピースを接合する。

    ピース接合方法は通常のステンドグラスのコパーテープ・ハンダの他、ガラス用接着剤も用いる。各ピース間の接合・接着の方法について検討しなければならない。

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ピースの接合
  • [2019.05.26] ピースの接合@ ―接着方法、接着剤、頭部ブロックC―
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    • 【接合方法とガラス接着剤】
    • この作品では、ピース接合は通常のコパーテープ・ハンダ処理だけではなく、ガラス接着剤も用いる。その箇所ではハンダのラインは強すぎるので、絵の具(ブラック、またはその他の色)でラインを引くためである。
    • そのラインは頭部ブロック内の髪の毛と小ピース、髪の毛と顔の接合ラインである(ただし、ブロックB内の月桂樹とヘッドバンドはコパーテープ・ハンダ)。
    • また、左右の模様の大きなピース(7-1〜7-3、および19-1〜19-3)は、絵付けのために接合ラインをできるだけ消したいので接着剤で接合する。
    • ピースを接合する前に、まず接着剤を取り寄せ、その接着具合を実験してみた。その結果をもとに、実際に簡単なピースいくつかを接合した。

    • 接合の順序は、@頭部ブロックA・B・Cをそれぞれまとめて接合(ブロックBのコパーテープ部分はハンダ仮付け)、A模様の大きなピースの接着剤による接合、B全体のハンダ仮付けと本付け、C外縁補強真鍮管のハンダ付け(これはU字形ケイムにするかも知れない)である。
    • その後、洗浄、パティーナ処理まで終え、ステンドグラス作業完了、あとはガラス用絵の具による線描と絵付けという段取りである。
    • 線描と絵付けのために、描きやすいように装置を工夫して作るつもりである。
     
    【ガラス接着剤】
     

    ガラス接着で用いられる接着剤は各種あるが、いずれもガラスだけに特化されてはおらず、ガラス、金属、陶磁器、プラスチックなどの接着剤である(ガラス接着専用もあるようだ)。今回は左画像の3種(@、A、B)を試験してみた。使い勝手など以下の通り。
    @瞬間接着剤アロンアルファーは液状で瞬く間に硬化する。そのため、ピースの接合には向いていないと思う。微調整などができないからである。
    A一液の接着剤。2種類買い求めたが、試験したのは左のプリット。アマゾンでは「ガラス接着剤」となっている、ペースト状で粘性がある。シリコーンとアクリルが主成分で、数時間で実用強度に達し、約1日で硬化するが、硬化後も柔軟性が残る。
    Bブルーフィックスはドイツ製の液状プラスチック接着剤。LEDブルーライトを照射すると3〜10秒程度で硬化するという独特の性質を持つ。画像の商品は、クリア・ブラック2液(ペン型、いずれも8g)、一灯LEDブルーライト付。アマゾンで購入したが、2,280円とかなり高価。
    Cボンド エポクリヤーは2液混合型エポキシ樹脂系接着剤。接合する度に混合しなければならず、ピースの調整で時間がかかると硬化し始めるので使いにくい。それに、エポキシ接着剤は完全に硬化すると収縮する性質があるので、ガラス接着の場合、長く大きなガラスは割れることがあるとのこと、今回の接着では用いないことにした。
    なお、AとBの試験では、接合部にコパーテープを貼り付け、ハンダ付けして、その熱による接着剤の変化がないことを確認した。
     
    【ピース接合】
     

    左の画像、左から、ブロックAの2つのピース、ヘッドバンド飾り、頭部ブロックC全体。上の左はブルーフィックス接着剤(クリア)の入ったペン型容器(右端がノズル、左端はノック式UVライト)、右は別に購入したUVライト。
    上の試験の結果、頭部ブロック内の接着剤によるピース接合ではブルーフィックスを用いることにした。これは液状で、ガラスの隙間によく流れ込み、UVライトを当てない限り液状のままで、ピースの微調整が十分できるからである。
    まず、一番シンプルなピースを接着した。ブロックAの2つのピースとヘッドバンドの一番上とその下の飾りである。この4つはピースの中に穴を空け、それを適度に広げてその空間に小さなピースを埋め込む。これは簡単だった。
    次に、バンド飾りの下の3つを結合させた。これも比較的容易であった。
    ある程度慣れたので、頭部ブロックの内一番シンプルなCブロック全体を接合した。これは少々工夫が必要。まずピースを整え表側に5cm幅のマスキングテープを貼り付けてピ−ス群を固定、ブロック全体を取り外して裏返し、各ピース間にブルーフィックスを流し込む。UVライトを念のため少々長めに照射して接着剤を硬化させ、ひっくり返して、表のテープを剥ぎ、再度接着剤を流し込む。
    この時裏側に養生のためにマスキングテープ(またはそれに代わるもの)を敷いておくことが重要。それを怠ると、ライト照射後裏側へ染み出た接着剤が下の板などにしっかり接合してピース群を取り外すのが難しくなる恐れがある。

    頭部ブロックA・Bも接着剤はブルーフィックスを用いることにする。しかし、大きな模様のピースは一液型接着剤で接合する。この長い接合部はいくらか柔軟性のある方がいいだろうと思うからである。

  • [2019.05.28] ピースの接合A ―頭部ブロックA・B―
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  • 【頭部ブロックA】
     

    ブロックA内の小さなピース群は、成形し直したり、新たに作り直したりした。わずかな出っ張りがあるとうまくはめ込めないからである。その微細な成形でルーターを用いることができず、ダイヤモンドヤスリで手仕事となる。
    ブロック内ピース接合はすべてブルーフィックスだが、その作業はブロックCよりも遙かに難しかった。ごくわずかな隙間もできないように、何度も調べながら表・裏から接着剤を接合部に流し込んだ。
    ブロック全体に、ブロックCと同じくコパーテープを巻くが、髪の毛と額との接合部はハンダ処理ではラインがきつすぎるので、後で接着剤(一液型の予定)を使って接合する。
    なお、上部、グリーンの輪との接合ラインは、ピース間にどうしても小さな凹部が生じる。そこにブルーフィックスを盛り付け、ルーターでライン全体を滑らかにした。ブルーフィックスはプラスチックなので硬化後このような処理ができ、便利である(このピース成形方法はブロックBでも用いた)。
     
    【頭部ブロックB】
     

    ブロックをまとめるという点で、ブロックBが一番難しい。コパーテープ・ハンダと接着剤(ブルーフィックス)の接合であること、髪の毛の深く鋭角的に抉れた部分のコパーテープ貼り付けでどうしてもテープが裂けるので、その補修に神経を使うこと、テープの厚み分ピース間が狭くなってピースが収まらないことがあり、微細なピース成形(手作業)が必要、などなどのためである。
    なお、左上2葉1ピースの葉の境とバンド飾りの下の3個の繋ぎ箇所はコパーテープを貼り付けラインを引いている。

    この段階ではハンダ仮付けを施していない。再度ブロック全体を点検する。
     
    【頭部ブロック全体】
     

    髪の毛を主体とする頭部ブロックA・B・Cが完成した。しかし、そのブロック群相互、およびそれらと他の大きなピースとの接合はすぐ行わない。
    線描・絵付けの方法に迷いがあるためである。つまり、パネル全体のステンドグラス作業を仕上げた後で線描・絵付けをするという段取りを立てたが、それよりも、頭部各ブロックや大きな接合した模様ピース、顔、衣、襟飾りごとにこの作業をする方がいくらか気が楽であるかも知れないと思われる。
    そのため、まずガラス透明絵の具ヴィトレイルを使って線描・絵付けの練習をしてみる。ガラス絵の具線描用筆もあるようなので、数種買い求め、それらを使って色々試すことにする。
    また、線描・絵付けがハンダ作業の熱によって傷まないかどうかということも調べておかねばならない(接着剤は大丈夫ということは確認している)。

    今回のような線描・絵付けは初めてなので、ゆっくり時間をかけて取り組むつもりである。

  • [2019.06.03] コパーテープ作業
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  • 【全ピース・ブロックのコパーテープ処理終了】
     

    試してみた結果、ガラス透明絵の具ヴィトレイルはハンダの熱によって柔らかく溶けることが分かった。溶けて形状が変形するほどではないが、溶けた絵の具が何かに触れると形が崩れる。そのため、各ピースやブロック毎に絵付けと線描をした後、それらを接合するという方法は採らず、まず、全ピース・ブロックを接合することにした。
    そのため、全ピースにコパーテープを巻く(頭部ブロック群はすでに処理済み)。しかし、左右のモザイク模様の大きなピースは接着剤で接合しなければならないので最後に処理することにした。
    各ピース間の隙間がコパーテープ・ハンダ処理のためには窮屈過ぎる場合、ピース成形を施した。また、大きな曲線を微調整して滑らかにするためのピース成形、ラインをより原画に合わせるためにコパーテープの切り取りなどの成形も行った。
    モザイク模様のピースの、左の大きな方はパネルに嵌めたままマスキングテープで3つのピースを固定した後取り外し、ブルーフィックスで接合した。右の小さい方はピースに狂いがないので、パネルから取り外し、一液接着剤プリットで接合した。いずれの場合も、ラインからはみ出て硬化した接着剤を丁寧にカッターナイフで剥がさなければならない。ただし、この処理は表側のみ、裏側は接合強度の関係もあって、表から見て特におかしくない限りそのままにしておく。
     
    【顔と髪の毛】
     

    顔ピースの左側、目、鼻筋、唇、顎、首筋のラインを微調整した。

    コパーテープ部分全体をハンダで接合するが、顔と髪の毛の接合ラインはコパーテープ・ハンダ処理ではなく、全体のハンダ接合後、ブルーフィックスをラインに流し込み接合する。左の画像、赤のラインが頭部ブロックAの髪の毛と顔の接合ライン、黄色のラインはブロックBの髪の毛と顔の接合ラインである。

    ハンダで接合する前に、再度全体の細部を点検し、修正の必要な箇所の処理を行う(例えば、月桂樹の葉先など)。

  • [2019.06.04] 全ピース接合、パティーナ処理
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    • 【全ピース接合、ケイム取り付け】
    • 全ピース(と頭部ブロック)をハンダで接合した後、ぬるま湯と洗剤でパネルを洗浄、U字型ケイム(鉛線)でパネル外縁を補強した。

    • 下左画像はケイム取り付けの様子、右画像はケイムと一番外側のグリーンの輪をハンダで接合後の完成パネル。
     
     
     
    【パティーナ処理】
     
    ケイムとハンダのラインをブラックパティーナで黒く染め、ポリワックスで染を安定させる。

    これで、パネルそのものは完成。後は線描と絵付けである。

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絵付け
  • [2019.06.11] 透過光装置(ボックス)
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      【ボックスとライト】下左画像
    • 線描・絵付のために透過光ボックス装置を作った。
    • ボックス内側:縦横共600o・高さ150mm、
      表面アクリル板(クリア):縦横共600o・厚さ5o
      (画像はアクリル板なし)
    • ライト:LEDシーリングライト(8畳用)、38W・3800lm
    • シーリングライトは普通部屋の天井に取り付ける。しかし、この「装置」では上下逆の設置となる。
    • 画像では乳白色のカバーを付けているが、実際の線描・絵付作業の際、このカバーは取り外す。その方が下のデザイン図がパネルにより鮮明に写るからである。
    • ボックス側面にスイッチとプラグを設置する。その配線・設置は自分でもできるが、この装置では専門の「電気屋さん」にやってもらった。
      【アクリル板、図案、パネル】下右画像
    • ボックス表のアクリル板にデザイン図を固定、パネルを重ね、スイッチオン。
    • うっすらとパネルの「絵」が浮かんだ。
    • ミュシャの絵柄をこのガラスのパネルに「写す」のは、自分の技量では容易でないだろうと思う。色々試しながら仕上げたい。
    • アクリル板は線描・絵付け用、裏に取り付けるスリガラスを透してその仕上がりの具合を見るために、5o厚スリガラス板を準備する。
     
     

  • [2019.06.20] 材料・用具
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    【線描・絵付けで用いる材料と用具類】
     

    上のケース左はペン類、中は筆類、右はペトロール。中段はヴィトレイル絵の具、下はヴィトレイルサーンカラー(縁取り用絵の具)。

    この他に、エタノール(エチルアルコール)、絵の具調合用小ガラス容器、ペトロール小分け用容器、綿棒、爪楊枝などなど。

    なお、ガラスに付着した絵の具の汚れを取る溶剤として市販の「除光液」が案外便利である。
     
    【ペンと筆】
     

    線描のための用具を試してみた。左の画像BのペンとCの筆である。
    Bの左Gペンなどはアニメ・マンガやイラストで用いられるようだ。ガラス絵の具ヴィトレイルでは、絵の具の粘りが強いためと思われるが、全く使えない。竹ペンも同様である。
    カラス口は使い勝手がよく、ヴィトレイルも均質にガラスに乗る。線描はこれを用いることにする。ただ、買い求めたのは「DRAPAS D式製図器 一本烏口中型(NO.02-061)」だが、これよりさらに細い線(0.05o〜0.2o)が引ける「ウチダ 極細線引烏口(1-713-1100)」を通販で注文した。ただし、配送は6月末〜7月はじめとのことで、現在その到着を待っているところ。
    筆は極細大小二本、トレーサー三本だが、トレーサーの右二本は本来日本画用の筆である。極細筆は線描には向かない。また、他の三本もヴィトレイルで均質な線や微妙なラインを描くのは極めて難しい。相当訓練をした人ならば可能かも知れないが、私には不可能だ。
    そこで、グリザイユ・ガラス用エナメル(本格的ステンドグラス絵付け、絵付け後焼き付ける)の「トレーサー(フランス・ラファエル社製、8802-4)」を注文し、配送待機中。これはヴィトレイルでも使用可能と思うが、果たして私が使いこなせるかどうか大いに疑問である。

  • [2019.06.20] 幾何学模様褐色幅広ライン
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    • 左右の幾何学模様褐色の幅広ラインを引く。これは筆でいきなり絵の具をガラスに描かない。ラインを引く黄色のピースがほとんど不透明で、裏から光を当ててもラインが明確にガラスの表に写らないからである。
    • そこで、以下の作業工程でラインを描いた。
    • @ ガラスの該当部分に10cm幅マスキングテープを貼り付ける。
      A トレーシングペーパーに幅広ラインの輪郭を写す。
      B 該当部分にカーボン紙を敷いてその上にトレーシングペーパーを乗せる。
      C ラインを鉛筆でなぞってマスキングテープに写す。
      D 切り絵の要領で、絵の具の乗るライン部のマスキングテープを切り取る。
      E ライン部をエタノールで清めた後絵の具を乗せ(用いたのは上の「ペンと筆」一番右の筆)、マスキングテープを取り除く。
      F ライン外のガラスの汚れをペトロールで取り、極細筆(大)、カッターナイフ、爪楊枝、麺棒(ペトロールを染みこませる)でライン細部を修正。
    • 以上は、歌川国芳の戯画「人をばかにした人だ」をパネルにした第1作「ポパイのパパ」(2005年6月)、および第2作「ポパイのパパの父」(2006年3月)で、着物(浴衣か)の白い格子状模様を描く時に思いついた技法である。この2作のラインは直線的だったが、今回は円形などの曲線ばかりなので、カッターナイフによるラインの切り取りは遙かに難しかった。
     
    【トレーシングペーパーからラインをマスキングテープに写す】(左は済み)   【マスキングテープへの転写】

     
    【ライン部切り取り】
     
    【絵の具調合調べ】
     
     
    【幅広ライン線描終了】
     

    左の画像は線描・修正後、ボックスのライトを点けて、透過光で見るパネル。ただ、LEDライトのカバーを付けているので、乳白色が強い。実際はスリガラスを裏全面に当てる。なお、一番内側のモザイク模様ピースの正反L字型褐色ライン(中2の孫娘によると「足」)は直接筆で描いた。

    これからの線描・絵付け作業は注文している用具が手に入った後、取りかかることにする。

    しばらく休憩。とはいえ、この間、色々検討・試してみるべきことがある。各部位の絵の具の調整と線描・絵付け用具の検討、必要な場合その部分のガラスの色付け要領(色づけを表にするか裏にするか)などなど。

    また、線描と絵付けの順序の検討も重要と思われる。線描・絵付けに関しては初心者なので、試行錯誤が続くことになるだろう。

  • 幾何学模様モザイク
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    [2019.06.28]【左右の大きなピース】
     

    左右の大きな幾何学模様(頭部を除く)のモザイクのラインを引いた。

    用いた筆記用具は烏口だが、用意したのは@中型、Aコンパス取り付け用、B極細線引用である。絵の具の乗り具合や線の太さなど試してみた結果、Aコンパス取り付け用を使用した。ただ、これはドイツ製大型コンパス(最大半径60pあまりの円を描ける)の先端に取り付けるようになっているので、そのままでは手で線を描けない。そこで、左画像の右下にあるように、ボールペンの軸のインク芯を抜き、軸先端に烏口を差し込んで使用した(ピッタリ合った)。

    絵の具はヴィトレイルのカラー・ブラックを用いたが、粘性を弱めるために適度にペトロールを混ぜる。

    モザイクライン線描の前に褐色幅広ラインをさらに修正した。なお、画像の透過光ボックス表は5o厚のスリガラスであり、明るさをかなり落としている(LEDライトは明るさの調整が可能)。
     
    [2019.06.29]【頭部背景部分】
     

    頭部背景部分の幾何学模様・モザイクを描いた。

    髪の毛と背景のピ−スはブルーフィックスで接合したが、この接着剤の上に絵の具ヴィトレイルはしっくり乗らないようである(これは想定外)。この接合部はブルーフィックスのブラックを用いた方がよかったかも知れない。しかし、なんとかして接合部も髪の流れのラインと調和させたい。

    一応「幾何学模様」を描き終わったが(かなり修正もした)、模様全体の整合性や細かな部分で気になる箇所が多々ある。ゆっくり修正する。

    なお、首筋ライン下端に二本の細い線を書き加えた。

  • 衣(ガウン)・襟、幾何学模様の裏面色付け@
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    【用具】
     

    左画像、
    @:普通の鉛筆
    A:一本烏口
    B・C:オーストラリアのモン・マルト("Mont Marte")社製(ただし"made in China")細密5本組み筆セットのディテール用(小)・ライナー(小)
    D:普通のナイロン製平筆
    E:フランスのラファエル社製トレーサー(グリザイユ・ガラスエナメル用)
     
    [2019.07.04]【衣(ガウン)・襟】
    • 襟模様の輪郭や極めて細いラインはA一本烏口で引き、その色付けはBとCの筆を用いた。これは「動物の毛に真似て先が細くなっているポリエステル繊維(タクロン)、動物の毛より清潔、丈夫……などの特徴がある。」とのことである。相当細かな部分の色付けが可能。

    • 衣の襞のラインは微妙な幅の変化、ラインの濃淡とカーブがあり、色々試みながら同じガラスにこのラインを描いてみた結果、本番では最も使いやすかったラファエル社のトレーサーを用いた。襞ライン部の淡いブルーの色付けは襟模様と同じくB・Cで。
     
    [透過光なし]
     
    [透過光あり]
     
    [2019.07.06]【幾何学模様の裏面色付け@】
    • 幾何学模様、左右の幅広帯内三角形部分ブルーおよび内側のモザイク模様部の淡いブルー(両者とも頭部の背景の当該部分を含む)はガラス裏面に色付けした。ほとんど平筆、一部ディテール用で。

    • 幅広帯内三角形部分ブルーは透過光なしの場合、ガラスが不透明のため裏面の色が現れない。裏から光が透すとブルーとなる。
     
    [透過光なし]
     
    [透過光あり]

  • 頭部ヘッドバンドおよび月桂樹、幾何学模様の裏面色付けA
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    [2019.07.08]【頭部ヘッドバンドおよび月桂樹】
    • 頭部ヘッドバンドとその飾りは主としてライナーなどの筆で描いた。なお、この作品では両肩から垂れるリボンピースにはラインを入れないことにする。ガラスそのものに色の流れがあり、リボンのラインはそのガラスの趣に委ねる。

    • 月桂樹の葉の葉脈は、まず烏口で極細の輪郭を引き、最も小さな筆で白の絵の具を入れた。葉のめくれは筆で。なお、いくつかの葉で主脈から上方へ分かれる側脈を追加した。
     
    [透過光なし]
     
    [透過光あり]
     
    [2019.07.09]【幾何学模様の裏面色付けA】
    • いくつかの原画の画像を画集とネットで確認したところ、幾何学模様の小円内、宇宙人の目玉のような模様外は淡いピンク色のようである。そこで、この部分もこの帯の三角形部分と同様、裏面に色付けした。

    • そのため、三角形ブルーの部分と同じく、この部分は透過光なしではうっすらとピンクが見えるが、裏から光を透せばその色が鮮明に現れる。
     
    [透過光なし]
     
    [透過光あり]

  • [2019.07.16]頭部髪の毛(用いた筆:ラファエル社・トレーサー)
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    [透過光なし]
     
    [透過光あり]

  • [2019.07.18]顔(パネル線描・絵付け終了)
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    [透過光なし]
     
    [透過光あり]

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完成
  • 細部修正
  • (画像をクリックすれば拡大画像、各ブラウザの「戻る」ボタンでこのページへ。)

    • 7月18日(木)、顔の絵付けで一応線描・絵付を終えた。しかし、その後、パネル全体の線描・絵付を点検し、細部の修正をする。
    • 個々の修正箇所と要領は示さないが、下に最終処理後の画像を掲げる。
    • なお、この修正作業は、発注したパネル表裏の保護のためのアクリル板が届くまで行い、その時点で終了して、「パネル完成」とする。
    • このような作品では修正に限りはない、ということを思い知った。
     
    【7月26日現在】
    [透過光なし]
     

    [透過光あり]


  • [2019.07.27]全工程終了、作品完成
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    • パネル保護アクリル板が届いた。最後の修正作業の後、表裏ハンダ部分をエチルアルコールで清めて、再度ブラックパティーナ処理を行った。最後に、ポリワックスでハンダ部分の染を安定させると共に、ガラスピースのかすかな汚れや小さなゴミを取りながら、布と綿棒で注意して磨きあげた。
    • 以上でこのパネル完成とする。

    • 完成したパネルを木枠(額)に収めた。このパネルは表裏をアクリル板で保護する。表のアクリル板は反射が気になるが、これは主として絵の具ヴィトレイルの保護のためである(普通のステンドグラスパネルでは不要)。
    • 保護アクリル板は以下の通り。
    • 表:透明UVカット、厚さ 5mm、直径 455 mm
      裏:両面マット オパール、厚さ 5mm、直径 455 mm
      なお、裏面アクリル板を留める「トンボ」は8個、ステンレス8分(24o)。
    • パネルを木枠(額)に収め一応「作品」は完成した。しかし、これを、どこに、どのように設置するか、ということは具体的に考えていなかった。
    • ただ、パネル背後からの光もしくは照明によって、このパネル全体と女性像の陰影と印象が変化するということは明らか。パネル設置要領は、設置場所とその状況によって検討することになる。
     
    [透過光なし] 夜、窓辺、カーテンの前に置いて
     
    [透過光あり]

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[2021.08.06] ある展示会出展
  • 修正
    • 今年12月開催されるある展示会にこのミュシャのステンドグラス模写を出展することにした。出展料が少々高めで躊躇したが、80歳の、最後の記念にしたいと思っている(制作は2019年)。
    • この展示会の諸事項は以下の通り。
      ・ 展示会事業者:(株)六曜社
      ・ 事業名称:福岡芸術祭 和楽 2021
      ・ 会場:福岡アジア美術館 7F 企画ギャラリー
      ・ 会期:2021年12月9日(木)〜12月14日(火)
    • この作品は完成後自宅居間に設置していた。しかし、展示会に出展することになり、気になっていた箇所の修正を行った。いずれも彼女の顔の三つの細かな部分である。
      1. 人中のライン:コパーテープとハンダの細かな作業で難儀した。
      2. 耳輪(耳介外縁):耳後ろの髪の毛のラインとほぼ同じだったので、ラインを少し強めにした。
      3. 鼻孔と鼻翼部:ほとんど分からないほどの修正。
    • 顔以外でも手を加えたい部分があるのだが、それらの修正に取りかかると、この作品がステンドグラスであるため「無間地獄」に落ちるので諦める。新たに作成する方が遙かに楽だろう(天国ではないが)。
    • また、展示会のためにパネル背後の光源を変える。これまで直径16cm・14Wの小型LEDシーリングライトであったが、これを直径30cm・約20Wにする。下の右画像[透過光あり]はこの光源による。
    • 上の「全工程終了、作品完成」右の[透過光あり]画像のパネル背後光源は8畳用シーリングライトだが、この光源を展示会で設置するのは不可能。
    • 展示会のおけるパネルとライトの設置方法について目下色々検討中。

     
    【8月6日現在】修正後の画像
    [透過光なし]
     

    [透過光あり]

  • [2021.08.27]東京へ発送
    • 展示作品は一旦東京の六曜社へ送ることになっている(また福岡に戻るのだが)。8月中に発送する旨六曜社に伝えていたので、ギリギリの8月27日(金)発送手配を済ませた。30日(月)先方に着くはずである。
    • 梱包には気を使った。全体を覆う素材として、段ボールでは不安なので、12o合板で頑丈な箱を作成、30o厚発泡スチロール板などで保護を施し、パネル、電源ライト(器具、コード)をその中に収めた。


  • [2021.12.11] 福岡芸術祭 和楽2021
  • この展覧会2日目の12月10日(金)昼過ぎ、会場に出かけた。平日だったので、鑑賞者は少なかった。私の出展作品展示方式が気がかりだったが、よく工夫され、きれいに仕上がっていた。この装置作成では、かなり苦労をかけたようです。

    [アルバム]
    :クリックすれば大きな画像、各ブラウザの「戻る」ボタンでこのページへ。)

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    ミュシャ「月桂樹」パネル
    展示箇所
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    展示作品
    装置は安全第一に作成されている
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    作品の横に立って
    マスクを外してもよかったか?
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    展示会場風景
     
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    展示会場風景
     
    waraku2021_006.jpg
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    ステンドグラスの展示作品
     

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