パネル

満月

2019年4月15日〜22日

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© 2019 Kengo Tachibana
Updated: April 22, 2019
Last modified: April 22, 2019


作品概要
  • はじめに
    • 3月28日(木)、絵付け(線描)で苦労した「月夜」(別ウィンドウ)を納品した。ところが、4月上旬、このパネルは別の所で使いたいので、間仕切り用として同様のパネルを作成して欲しいという連絡が入った。ただ、全く同じものというわけではなく、構図を前のままに、兎夫婦と木賊なしでいいということだった。
    • つまり、作品はステンドグラスの作業で作ることができるから、ずいぶん楽ではある。しかし、「月夜」から「兎夫婦と木賊」を削除しただけでは間が抜けた妙な図柄になる。デザインは一から考え直さなくてはならない。
  • パネル作成の基本的事項
    • デザインはパネル「月夜」をもととする。ただし、兎と木賊は省略。
    • (以下は、「月夜」と同じ。)
    • 設置場所:日本家屋、和室と洋間の間仕切りに設けられた枠内。
    • 枠の寸法:縦300ox横406o。
    • 間仕切りなので、二つの部屋からそれぞれ表・裏の面を見ることになる。
    • パネルに日光は直接当たらないが、二つの部屋とも室内は自然光が豊かで明るいとのことである。

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デザインから全ピ−ス作成まで
  (画像をクリックすれば拡大画像、各ブラウザの「戻る」ボタンでこのページへ。)
  • デザイン
    • デザインの核は一つ、満月。たなびく雲、丘(「月夜」では兎のカップルが座っていた)、遠近2つの山、霧などは「月夜」とほぼ同じ。このパネルではすべてが満月の脇役である。
    • これだけだと地上と月の間の空間の広がりが大きすぎるので、極めて緩いカーブの線を横に伸ばし、横線(天空と地上の境とでも言えようか)の上下で異なるガラスを用いる。
    • また左端から右下へ3本のラインを設けた。このラインは何も表していないが、満月に視線が集中するのではないか、と思っている。


  • ガラス
    • このガラスは空間上部に用いる。ガラスサンプルの見本の色具合に興味が湧き、10年近く前に購入していた。ランバーツのアンティーク・フラッシュである。これはオパックと思っていたが、あらためて調べてみると「バリゲイト」らしい。
    • 送られてきた元板(約 65 x 100cm)には3つの大きな透明楕円形があり、それを活かす作品図案が難しく、使わないままになっていた。今回、この画像一番下の楕円形の透明な部分を利用する。
    • アンティークガラス製造は近年少なくなっているとのことである。私が購入したことがあるのは、まずドイツのランバーツ(オパックのアンバー、ゴールドピンク、マリンブルーやクラッケルなど)、次いでフランスのサンゴーバン、アメリカのフリモントは1つだけ。
    • いずれも元板(もしくはあまりに高価なものはその1/2)を入手したが、ガラスそのものが非常に美しく、あまり使わずに残しているものもある。
    • 貴重な素材なので、今回あらためて大事にしたいと思った。
     
    • 上部空間として定規の右側を使う。直線カット用定規が手元にないため、釘を打って金属定規を固定してカットする。これまで専らこの方法でこなしてきた。
    • しかし、元板カットは10年ぶりでかなり緊張した。アンティークガラスは吹きガラスで作られるため、縦両端に「耳」があり、さらに厚みが耳の方は約4o、真ん中辺りは約2oと異なり、ローラーで作られるマシングラスに比べカットが難しい。
     
    • 満月はサンゴーバン(アンティーク)の残り少ないガラスを用いた。
    • このガラスは「フルムーン」と名付けたランプシェードで使った。同じランプシェードを3つ作ったはずである。
    • 今思うと、ずいぶん贅沢なアンティークガラス使用であった。


  • 全ピース
    • 全ピース作成終了
    • これで一段落。
     
    • パネル真鍮枠にピースを収める。
    • その際、ピースの細部成形が必要なことが多い。

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完成まで
  (画像をクリックすれば拡大画像、各ブラウザの「戻る」ボタンでこのページへ。)
  • コッパーフォイル(コパーテープ)巻き
    • この工程でも、テープの厚みがピースに加わるので、微調整しなければならないことがある。
    • そのため、ただテープを巻くだけの時よりも時間がかかる。


  • ハンダ付け
    • このようなパネルの場合(だけとは限らないが)、雲の両端のようにラインが鋭角に交わる箇所のハンダ付けは、角がハンダで丸くならないよう注意が必要。
    • この点はパティ−ナ作業に入る前に再度チェックする。


  • パティーナ処理、完成
    • 左はパティーナ処理後ポリワックスで拭き上げた画像。これで完成。4月15日(月)の作成開始からほぼ1週間かかった。
    • ただし、細部を点検し、気になる箇所を修正した。

    • この写真は背後に白のカッティングマットを置いて撮影した。この場合、満月の色は鮮やかな黄色である。

    • しかし、下の2つの画像のように、窓辺に置いたり、室内空間ではこの色が微妙に変わる。このパネルの設置は2つの部屋の間仕切りであるから、その場合、右のように見えるのではないかと思う。
     
    【南面窓に置いて】
     
    【室内で】

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